アル・ジョルスンの遠距離恋愛
LARRY PARKS in "THE JOLSON STORY" (1946)
数日前に近所のビデオレンタル屋で
「アル・ジョルスン物語」(1946年)を借りました。
卒業論文を書いていた時にチラ見しただけなので、
あんまり話がに面白くなかったという事しか
覚えてませんでした。
再び見た感想は、やっぱり話は面白くなかったけど、
個人的に興味深いところが何点かありました~。
◆
1946年にコロンビアで作られたこの映画は、
20世紀初頭のブロードウェー&ハリウッドで
大成功をおさめたシンガー、アル・ジョルスンの
半自伝的になサクセス・ストーリーです。
自伝といってもこの頃は本人も現役で、
バリバリに顔をきかせていたので、
ジョルスンに否定的なところは一切出てこない、
ストーリーが進んでいきます。
見終わった観客は、たぶん、ああ、なつかしい歌だ、
ジョルスンって凄いね、歌が本当に好きなんだね、
何て感想を持つような感じです。
それでも当時では「風とともに去りぬ」以来に
ヒット映画だったらしく、アカデミーを6部門受賞し、
1949年には「ジョルスン再び歌う」続編が作られたました。
◆
津野海太郎先生の授業の話では、
はじめ、ジョルスン自身がジョルスン役を
演じたかったらしいですが、さすが60歳近い初老の男性が
10代~30代を演じるのは微妙だと判断されたため、
オーディションをする事になりました。
その役を射止めたのは、当時まったく新人のラリー・パークス。
ジョルスンに背格好が似ている理由で抜擢されたそうです。
パークスはジョルスンの、分かりやすい動きを
しっかりコピーしていて、たいしたもんでした。
でも、歌はジョルスンたっての希望で本人が
吹き替えしたそうです。(独特の声ですし)
その後、パークスは大スターになるのですが、
不幸な事に1950年代、共産党に入っていたことがばれて、
「ハリウッド・テン」として、悪名高い赤狩りの犠牲者になりました。
その後、ハリウッドから追放され仕事も無く、
60年代に心臓発作でお亡くなりになりました。(涙)
◆
そうそう、興味深かった事はジョルスンが
「ミンストレル・ショー」楽団で働いていた時
立ち寄ったニューオーリンズのシーンで、
最先端のジャズを演奏する「黒人」と接して
積極的に取り入れようとするシーンです。
「ミンストレル・ショー」は1800年代にボードビル劇場で
一生を風靡した芸で、白人が顔を黒く塗って、
ステレオタイプの「おばかな黒人」を演じながら歌い踊る、
きわめて差別的ともいえる、アメリカポピュラー音楽史上で
最も物議を醸し出しているショーの一つです。
ジョルスンはまだ劇場では人気があった、
「ミンストレル・ショー」に参加し、
そこで新しい音楽だったジャズを巧みに取り入れ、
一躍ビックスターの座に躍りでたのです。
そのスタイルは生涯にわたり系統することになりました。
ところで、どこかで見たジョージ・ガーシュインの伝記映像の中でも、
彼が黒人の教会に通うって感銘を受けるシーンがあって、
そことダブりました。そして、ガーシュインも
ジョルスンと同じくユダヤ人です。
あはは、これ実は卒論の題材だったんですよ。
その時は、うまくまとまらなかった事もあり、
生涯の研究項目になりそうです。
◆
そしてジョルスンは生涯で何度か結婚し、
映画の中ではジュリー・ベンソン(Julie Benson)
という女性と結婚をします。
その人は名前は違いますが、
ジークフェルト・ガールとして人気が出て、
その後、ワーナー・ブラザーズで変態振付師&映画監督の
バスビー・バークレイと何本もヒット作を作った、
女優&ダンサーのルビー・キラー(Ruby Keeler)です。
結婚した当時はジョルスンがワーナーで初のトーキー映画、
「ジャズ・シンガー」の撮影をしていた時。
映画が成功後、ワーナーのお偉いさんにジョルスンが
ルビー・キラーを紹介したのでしょうね。
結果として彼女の主演で撮った「42番街」は、
バスビーの機械主義的に幾何学模様を作る、
斬新な振り付けのミュージカル・シーンと
可愛らしいルビーのタップダンスに
爽やかな男優ディック・パウウェルが受けて、
大ヒットになるのです。
当り前の事だけど、文章で「ルビーが映画デビューしたきっかけは
ジョルスンだった」と今まで読んだことがなかったので、
今回、この映画を見て初めて気がつきました。
案外、ハリウッドで働くジョルスンは
ニューヨークでジークフェルト・ガールとして働いていたルビーとの
遠距離恋愛がつらかったから、ハリウッドに来いよ!
って誘ったのかもしれませんね。笑
Ruby Keeler "42nd Street Title Number"
(かずみ)
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